研究設備
走査型電子顕微鏡
ナノメートル領域の構造を観察する電子顕微鏡。5軸モーター試料ステージを備え、通常の二次電子観察像に加え、高感度な四分割半導体検出器による反射電子像観察が行える。2023年発売の新機種で、ユーザーインターフェースに優れ、直感的な像観察や条件設定が行える。(日本電子, JSM-IT210)。
全自動多目的X線回折装置
材料のナノメートルスケールの周期性と微細構造を評価・解明するための装置(リガク、SmartLab)。高感度な一次元半導体検出器により反射法(Bragg-Brentano集中法)と回転試料台を用いた透過法の両方について高速な計測が行える。
多検体比表面積/細孔分布測定装置
多孔体材料のガス吸着特性(比表面積、細孔径分布、細孔容積等)の分析装置。材料の分子吸着に関する特性評価が行える。(Micromeritics, 3Flex)。
入力補償型 示差走査熱量測定装置
材料の基本物性である比熱を測定する装置(PerkinElmer, DSC 8000)。熱量を直接測る入力補償型のため、高確度での比熱測定が行える。液体窒素供給によりマイナス100 ºC前後から計測可能。
熱流束型 示差走査熱量測定装置
温度プログラムされたファーネスに置かれた試料とリファレンスとの温度差から、試料の相変化(融解、凝固、ガラス転移など)の温度およびその吸熱・発熱量を測定する装置(島津、DSC-60)。液体窒素供給によりマイナス160 ºCから計測可能。
不活性ガス循環精製装置付きグローブボックスシステム
酸素と水分が1 ppm以下に抑制された不活性ガス環境下で試料作製、実験準備、試料保管を行うためのガス循環精製装置付きグローブボックスシステム(VAC, OMNI-LAB)。
真空グローブボックスシステム
不活性ガス環境下で試料作製と実験準備を行うための真空型グローブボックスシステム(UNICO, UN-650F)。内部にターボ分子ポンプユニットによって真空排気される高真空チャンバーを備えており、測定試料の長時間脱気処理が行える。
熱重量-示差熱同時計測装置(TG-DTA)
プログラムされた温度変化(室温~1100 ºC)のもとで試料の重量変化を計測すると同時に、変化に伴う吸熱・発熱の量を測定する装置(リガク、Thermo Plus EVO2)。融解・凝固・固相転移などの相変化および分解・脱水などの化学的変化を温度の関数で評価できる。試料雰囲気は乾燥窒素と空気から選択できる。
紫外-可視-近赤外分光光度計
紫外域から赤外域にわたる広い波長範囲(185-3300 nm)おいて、試料による光吸収のスペクトル計測を行う分光光度計(島津、UV-3600)。
フーリエ変換赤外分光光度計
材料を構成する結合の種類と状態の計測に用いる赤外吸収スペクトル計測装置(日本分光、FT/IR-6100)。全真空型で大気分子による影響を受けない計測が可能。
電気化学測定システム(ポテンショスタット–ガルバノスタット)
試料の電気化学的性質、拡散係数、交流インピーダンス(交流導電率)、酸化還元平衡電位など、平衡論と速度論両方の計測に用いる電気化学計測システム(Princeton Applied Research, VersaSTAT 4)。気密型マイクロ電気化学セルと組み合わせることにより、不活性ガス環境で1-1.5 mLの試料液量に対して三電極の電気化学計測を行う。
数値計算用ワークステーション
材料の性質を予測・評価する量子化学計算、セル内の温度分布と流れを予測・評価する熱流体計算等に使用するワークステーション。右:HPC Systems, 5000-XSL216TS-Silent (CPU: Xeon Gold 6150, 2.7 GHz, 18コア×2基、36コア; Memory: 192 GB)、 左:HPC Tech, HPCT WSX32 (CPU: Xeon Gold 6342, 2.8 GHz, 24コア×2基、48コア; Memory: 256 GB)。同性能のワークステーションをあと2台保有。
コーン・プレート型レオメーター(粘度計測装置)
流体の粘性係数を計測するcone/plate型レオメーター(Brookfield, R/S Plus)。回転数のプログラム制御により、非ニュートン流体解析を含む幅広い流体物性計測が可能。試料温度はペルチェ素子ステージにより0℃-135℃の範囲で制御される。独自に設計した乾燥窒素によるパージングシステムを備え、環境湿度の影響を受けない計測が可能。
偏光顕微鏡
回転心出し機構を備える精密回転ステージの上下に挿入された一対の回転偏光子を用い、クロス・ニコル法により試料の偏光特性観察を行う顕微鏡システム(オリンパス、BX53)。3.2MピクセルCMOSカメラと2個の白色LED投光管を備え、透過照明・落射照明両方での試料観察が可能。
強制対流恒温オーブン/真空加熱オーブン
試料作製と実験準備に用いる強制対流恒温オーブンおよび真空加熱オーブン。後者の真空排気は、試料へのコンタミネーション抑制のため、ドライスクロールポンプにより行われる。
多目的試料処理電気炉
マスフロー・コントローラーで流量制御された不活性ガス中で環状電気炉による加熱処理を行う、本研究室で設計開発したガスフロー型真空電気炉。試料の高温処理、真空脱気、脱着処理、還元処理などが行える。排気系にドライスクロールポンプを備え、試料へのコンタミネーションを抑制している。
ナノ秒パルス 波長可変レーザーシステム(Optical Parametric Oscillator; OPO)
分子の並進運動ダイナミクス、分子間エネルギー移動キネティクスの計測に使用するナノ秒パルスOPOレーザーシステム(EKSPLA, NT-242)。波長:405-2600 nmの区間で可変、繰り返し周波数:10-100 Hzの範囲で可変、パルス幅:4 ns。
絶対発光量子収率測定装置
試料からの発光(photoluminescence)の絶対量子収率を計測する装置(浜松ホトニクス、Quantaurus-QY)。積分球と電子冷却CCDアレイ検出器を用い、溶液試料と固体試料の両方について計測が行える。
顕微ラマン散乱分光装置
試料の分子レベルの特性(分子振動モードと光との相互作用)を計測する自作設計の顕微ラマン分光装置。3種類の無限焦点対物レンズを備え、最適に独自設計した多軸光ファイバーにより極少量試料からの微弱なラマン散乱光を効率よく分光器に導く。励起光源は波長532 nmのTEM00シングルモードのダイオード励起固体レーザー。
分光器 + 電子冷却CCDアレイ検出器 + 光電子増倍管 光計測システム
電子冷却シリコンCCDアレイ検出器(Princeton Instruments, PIXIS 100BR)、光電子増倍管(浜松ホトニクス, H11461)、30 cm焦点距離分光器(Princeton Instruments, SP-2300i)からなる光計測システム。発光スペクトル計測、時間分解発光強度計測、過渡吸収計測、顕微ラマン分光計測等による試料の特性解明に用いる。ナノ秒パルスOPOレーザーを含む様々な励起光源と組み合わせて使用される。
液体熱起電力計測装置
フロー熱電発電、熱化学電池で用いる酸化還元対溶液の熱起電力計測に用いる、独自に設計・製作した装置。試料は温度制御された二個のガラスバイアルに保持され、それらは塩橋で接続されている。低温側はペルチェ素子により5 ºCから90 ºCの範囲で、高温側はヒーターにより室温から200 ºCの範囲で独立に温度制御が行える。熱起電力の温度差依存性に加えて、温度自体への依存性も計測可能。測定部を真空排気可能で、環境の影響を排除した信頼性の高い計測が行える。
微小量液体導電率測定装置
精密な温度制御下で微小量(0.3 mL)の液体の導電率を計測する、独自に設計開発した装置。温調用液体を本セルを構成するすべてのブロック内に循環させることで、セル全体で高い温度均一性と温度制御性とを実現し、計測精度を向上させている。試料液をグローブボックス中で本セルに密閉することにより、大気中の湿気等の影響を受けない信頼性の高い計測が行える。セル内で対向する白金電極間で交流インピーダンス計測を行い、ナイキスト線図の実軸交点から試料の導電率を決定する。
超純水製造装置
試料の作製・洗浄などに使用する電気抵抗率18.2 MΩ⋅cmの超純水を製造する装置(Merck Millipore, Direct-Q UV)。